2011年10月6日木曜日

蛍光表示管周波数カウンタ


 蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display 以下VFD)を使用した周波数カウンタを作りました。今更かもしれないが、これには目的がある。その目的とは
1)ダイナミック点灯のお勉強
2)手元に昔の電卓用VFDがあった事
3)液晶よりVFDのほうが老眼にやさしい
4)FRG7700と言うBCL受信機の表示部修理の為のお勉強。
 特に4)が主目的。この受信機の表示部にはVFDが使用されており、その制御にはMSM5524という沖電気のICが使用されている。このICの故障が多いようで、ヤフオクにも表示部の故障したFRG7700が時々出品される。尚、TRIO(KENWOOD)のR-1000も同様のICを使用している。当然であるがこのICは絶滅種。海外あたりではまだ入手できるとの情報もあるが、1個単位では入手できない。なので、AVRを使って再生を試みようというものだ。
 さて本題のカウンタであるが、大きく分けて表示部、カウンタ部、入力アンプ部、プリスケラ部、電源部となっている。それぞれについて簡単に書いてみる。
 尚、本機を作るにあたってO-Familyさんの「電子工作部屋」を参考にさせていただきました。(ほとんどコピー)誠にありがとうございます。

【表示部】
VFDは、NEC製(LD8118 9桁)で大昔の電卓用の物。詳細なデータが入手できなかったため、ピンを解析し順々に電圧をかけて調べてみた。ヒーター電圧3.3V アノード電圧33V位で見やすくなったため、これで製作した。従ってどの程度の寿命になるかは不明。まあ使用頻度から見ても大丈夫だとは思うが。
 表示制御にはAVR(ATmega48)を専用で使用。カウンタ部から信号を受け取りダイナミック点灯させている。
 このダイナミック点灯が結構カット&トライが必要であった。1桁目を表示→1桁目を消灯→2桁目を表示→2桁目を消灯→・・・・9桁目を表示→9桁目を消灯の繰り返し。(周波数表示は7桁、8桁目は未使用、9桁目にA入力で「a」、B入力で「b」を表示 合計8桁)点灯時間、消灯時間の長さ及びカウンタ部からの割り込みタイミング等の調整が難しい。プログラムを何回も書換えて見やすい時間を設定した。タイムチャート等をきっちり整理すればもう少し計算できるとは思うのだが、VFDのデータシートがない為手探りで調整。

【カウンタ部】
 カウンタ部はAVR(ATmega88P)を使用。基準周波数として秋月で入手した12.8MHzのTCXOを使用。プログラムはO-familyさんの「AVRマイコンによる 周波数カウンターの製作」のキャプチャー機能によるゲート方式カウンタを使わさせていただいた。このカウンタは頗る安定で正確だと思う。
 カウンタ部で計測した周波数データを7桁の文字列に変換し「Shiftout,Shiftin命令」で表示部にデータを送っている。尚、オリジナルに加えゲートタイムを1Sと0.1Sに切り替えられるように変更している。

【入力部】
 入力部はFETとトランジスタの広帯域アンプのあとゲートICを通し74AC390Pで1/10できるようにしている。その後74HC153Pで入力切替を行いAVRに入力している。
 アンプ部はオーソドックスなものであるが、少々非力で入力感度が今一歩である。できれば-20dBm程度の感度としたい。必要であれば、当面は外部に広帯域アンプをつけて使用する。



【プリスケラ部】
 入力部では50MHzがMAXなのでさらにプリスケラで1/10し500MHzまでカウントできるようにしている。このときの周波数分解能は100Hzとなる。
プリスケラICはジャンク測定器に入っていたもの(SP8630B)で600MHzまで使用可能。1/10のプリスケラICも最近入手困難なようである。1/16などを使用してカウンタ部のプログラムで調整する方法もある。このあたりはマイコンのなせる技であろう。

【電源部】
 電源部はACDCで100Vを12Vにダウンし、3端子レギュレータでAVR用5V、VFD用にNJM2360ADを使用したDCDCコンバータで、3.3Vと33Vを作っている。このあたりもO-Familyさんのものを参考にさせていただいた。

【性能】
 A入力(1/1)   : 1Hz~5MHz   分解能 1Hz  感度-10dBm
 A入力(1/10)  :10Hz~50MHz 分解能 10Hz 感度-10dbm(50MHzあたりは0dBm)
 B入力(1/100) :    ~50MHz 分解能 100Hz 感度 -5dBm

 以上蛍光表示管(VFD)を使用したカウンタの自作記である。これでFRGの修理に進める。いつのことやら。
 参考回路図を掲載しますが、あくまでも参考です。記載ミス等あるかも知れませんがご容赦願います。
 最後にO-Fmamily さんの製作例が大いに参考になりました。AVRに関してはほとんどが網羅されているような気がします。今後も参考にさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
 尚、プログラムは、まだ整理できていないので、整理ができたらポイント部分でも公開したいと思います。