2021年7月24日土曜日

ALL BAND TRANSCEIVER (4)

 今回の ALL BAND TRANSCEIVER で色々な課題があった。今回解説するBAND,MODEの制御もその一つである。
 タッチパネルで選択したBANDやMODEは数値化され制御を行う。具体的には変数 [BAND] 変数[MODE]に選択した数値情報が収納される。

 上図でPHOT1でBANDをタッチ、PHOTO2で希望BANDをタッチすると変数[BAND]にBAND番号が収納される。この変数を2進数にして各BITのHigh,Lowを調べI/Oに出力をしている。
全部で14BANDなので4BITバイナリーでD14,15,16,17に出力している。
sketchでは、
void DIO_BAND_set(){
  int bitdata = 0;
  int port_num = 0;
  for (int j=0; j<=3; j++){      // ポートをLowにリセット
    digitalWrite(14+j,LOW); 
  }
  for (int j=0; j<=3; j++){  
   bitdata = bitRead(band,j); // 変数[band]の各Bitを調べる。
    if (bitdata == 1){
     digitalWrite(14+j,HIGH);   // 1なら当該ポートをHighにする
    }
    else{
      digitalWrite(14+j,LOW); // 1以外なら Lowとする。
    } 
  }
}

Modeも同様にしてD18,19,20,21に出力している。

 Aruduino DueのD14-21ポートに出力されたBAND,MODE情報は、以降の処理に使いやすいように(FXMA108)で3.3Vから5Vにレベル変換をしている。
 BAND情報はD14-17から出力されレベル変換後TC4515デコーダーを使用し、各BAND個別信号を出力している。このTC4515はActiv Low 選択された信号がLow、それ以外がHighとなる。このためPNPデジタルトランジスタ(RN2201)を利用し選択された受信用BPFに電源を供給するようにしている。
 送信も同様にBPF選択を行っている。送信ではさらに TD62084というSink Driverで出力のLPFリレーを制御するようにいている。

MODEも同様であるが、選択数が少ないのでデコーダーに74HC238(3INー8OUT)を使用いた。これはActiv HighなのでNPNデジタルトランジスタ(DTC144)を使用しColinsフィルター切替を行っている。

尚、BAND情報は、Linear と Transverterのためにバッファ(74HC125)経由でDINコネクタに出力している。

 さすがにALL BAND TRANSCEIVERともなると、フィルタ、BPF、LPFの切り替え処理が非常に煩雑となることを実感した。今回極力手持ち部品を使用したため、どうも一貫性のない回路となった感じである。ご容赦願いたい。

今回は、あまり日の当たらない部分の解説なので、少々つまらなかったもしれませんが、備忘録としてUPしておくこととした。

DE JA2NKD Ryuu







 




2021年7月4日日曜日

ALL BAND TRANSCEIVER (3)

 ALL BAND TRANSCEIVER (3)

送信部


❶ マイクアンプ  
  マイクアンプは、コンプレッサーTA2011SとOPAMP(LM741)を切り替えるようになっている。またSSB送信試験用に1kHz発振回路を組み込んでいる。これで口笛による調整から解放される。この3回路をOPAMP(NJM7043)でミキシングしSSBはPSN回路に、FMはFMキャリア回路に送っている。
 
❷ AF-PSN回路 
以前blogに掲載した50MHzPSN送信機と同様の回路で dsPIC33FJ64GP802を使用し位相のずれたAFを作っている。このdsPICのソフトはTJ-Labの上保さんの作成されたものであるが、非常に優秀である。
 
❸ 直交変調器
 これも50MHzPSN送信機と同様MAX2452を使用している。特に調整回路がないのでキャリアバランス等の調整は行っていない。AFレベルを調整しても効果がなかった。何とか40dB程度である。他にも直交変調器のICはあるようだが、ほとんどがGHz用であり、HFに使えそうなものは見つからない。またDBMやスイッチを使ってディスクリートで組むこともできるが、回路規模が大きくなってしまう。その点MAX2452は外付け部品もなく簡単である。また運用してモニターしいただいているが、おおむね音質はよく、キャリア、逆サイド等は認められないとの評価をいただいている。この直交変調器にSi5351によるVFOを直接入力している。このVFOの周波数は運用周波数の2倍を入力している。50MHzであれば100MHzとなる。これで全バンド ダイレクトにSSBができる。
 
❹ 前置増幅器 
MAX2452の出力は非常に小さいのでMMIC(MSA-0886)で25dB程度増幅している。

❺BPF
直交変調器で出来たSSB信号をBPFを通すことによりスプリアスを除去させている。BPFは「トロイダル・コア活用百科」の2ポールBPFを使用した。

 ❻前置増幅器
 目的出力を得るにはまだ低いので再度MMIC(MSA-0886)で再度25B程度増幅する。オールバンドにはMMICが得意だ。
 
❼プリアンプ 
ファイナルをドライブするため100mW程度に増幅する必要がある。三菱の高周波パワーFETRD00HHS1を使用している。アイドリングは50mA

❽パワーアンプ
RD16HHF1プッシュプル。出力は10W以下なので十分すぎるが、全バンド安定して増幅するために採用した。ドライブレベルを調整し概ねMAX 8W 程度の出力としている。バンド差が大きく出てくるかと思ったが、意外にそろっている。

❾LPF
λ/4 5次LPFで「トロイダル・コア活用百科」を基本として設計している。

❿FMキャリア水晶発振器
ジャンク水晶67.18235MHzを基本波発振させ3逓倍し67MHz台としている。これにバリアブルキャパシタダイオードにマイクアンプからのAF信号でFM変調を行っている。オーバートーン発振ではほとんど変調がかからないので注意。

⓫FM用ミクサー
⓫の水晶発振信号とVFOを混合し目的のFM信号としている。以降はSSBと教養である。

⓬オシレータ回路
今回周波数の安定度、正確性を確保するためにオシレーター回路に拘った。必要とする周波数は、70.455MHzの第一中間周波数を455kHzに落とす70MHz、455kHz前後のSSBキャリア信号及びVFOである。
 70MHzhDDSAD9851を使用している。このDDSクロックは10MHzのTCXOを基準としてVCXO30MHzを PLLを組み安定化し供給している。またVFO(Si5351)用のクロック25MHzも30MHzクロックのAD9851で作っている。455kHzキャリアは10MHz基準のAD9850から作り出している。これらはすべて固定周波数なのでArduino-nanoを使用しコントロールしている。10MHzは外部からGPS基準信号等が入力できるようにしている。詳細は下部回路図を参照願いたい。こだわりのOSCである。

⓬VFOコントローラー
 今回はマルチバンドトランシーバーなので以前blogに掲載したタッチパネル付きVFOコントローラーを基本として採用している。ただこのトランシーバー用にカスタマイズしている。
 コントローラーにはAruino-Dueで、メモリー容量、スピード、I/O数等十分な性能がある。難点はどうしても大きいことであろう。特徴としてtっちパネルを採用し、多機能でありながら機械的スイッチの数を大幅に減らすことが可能となった。

⓭CATコントロール
Arduino-DueはUSBを2回路積んでいる。1個はプログラミング用、もう一つは外部機器との通信に使用できる。これを利用しパソコンと接続し「Turbo HAMログ」でデータ入力時に周波数を自動的に表示できるようにした。基本的な通信g理解できたので、トランシーバーを外部からコントロールできるようにすることも可能である。今後発展させていきたい。

 以上オールバンドトランシーバーの概要です。詳細については 省略させていただきます。

DE JA2NKD