2013年2月10日日曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (4)

 前回からだいぶたってしまった。製作は進んでいるのだが、纏めるのが億劫になっている。これで はいかん。と鞭打って頑張ります。

RFアンプ出力
【RFAMP出力】
 前回の入力BPF&アンプの出力スペクトラムを掲示しました。入力は-70dBmで出力は-52dBm。BPFの損失とアンプの増幅率20dBmで計算通りとなっている。IM3は測定していない。機会を作って測定してみるつもりであるが、最近の無線環境からこの周波数帯ではそこそこでも問題ないと思っている。実際に運用して問題があったら検討しなおすこととした。その為にユニット化して製作している。
 尚、スペアナが液晶の為マーカーラインに信号が隠れてしまっている。少々見にくいがご勘弁願います。






受信用ミクサー
【受信混合部】
 ミクサーには多くの方式がある。DBM,SBM、H-Mode、FET、TR等々。今回はメーカーの普及機に多く採用されている、FET2個によるバランスドミクサーとした。私自身は作ったことが無かったことと、ダイオードDMBのように変換損失があるものでなく利得を優先した。
 ミクサー出力にはポストアンプを付けインピーダンス整合を取っている。この辺りは教科書の「トロ活用」通りである。





ミクサー出力(-30dBm入力)
結果は、画像のとおりで非常に綺麗であった。これは29MHz-30dBmの信号を入力したものである。局発の39.695MHzは、見えない。気になるのは29Mhzのすっぽ抜けである。もう少し検討の余地があるかもしれない。












FMIF&DET
【FMIF&DET】
 FMのIFと検波には、定番のMOTOROLAのICMC3361とした。いままで3357を使っていたが、少し進化した。このシリーズは、その後も進化版が出されている。セカンドソースも多く、いまだに入手可能である。実に長寿命である。AFアンプの386などと共にいまだに現役。如何に優れたICであるかが分かる。3357使用の時にスケルチだけは少々苦労してきた。今回色々使用例等探ってみたところ、各メーカーノイズ検出には工夫が見られた。中にはスケルチだけ別途回路としているものもあった。今回はTRIOだったかで使用していたもので、ノイズフィルタを強化したものである。これは結構うまくいっている。スケルチの切れ(ON/OFF)がスムーズである。まだ定数がしっくりこないのか、スケルチボリュームを半分ほどまわさないと切れないが、この辺りは調整できると思う。BカーブではなくDカーブのほうがいいかもしれない。これも将来課題である。

AM IF&DET
【AMIF&DET】
AMはLA1600辺りが定番であるが、今回以前秋葉原で入手したLA1135を採用してみた。このICはオーディオの世界で言うFMAMレシーバー用に使われているICで、1136,1137などのシリーズがある。データシートを見ると
機能として
MIX、OSC(ALC 付き)、IF 増幅、検波、AGC(normal)、RF 広帯域AGC、オートサーチ停止信号(シングルメータ出力)。局発バッファ出力
特徴として
・混変調特性が優れている:隣接局による妨害対策だけでなく、放送帯域内の全放送局による妨害対策もされている。
・狭帯域シグナルメータ:オートサーチストップ信号として使用でき、80dBm まで直線性がある。
・局発バッファ出力:電子同調システム, 周波数表示等の設計が容易である。
・OSC(ALC 付き):バラクタダイオード用に発振出力を低レベル(380mVrms)に安定化してあるため、トラッ キングエラーが改善される。
・MIX:二重平衝型差動MIX により、スプリアス妨害, IF 妨害に優れている。
・大入力特性が良い:130dBm 入力、fm=400Hz 80%mod 、THD=0.4% typ。
・低雑音:中入力S / N が良い(56dB typ)。
・実用感度:(S / N=20dB 入力):25dBm(2SK315 IDSS=11mA の場合)。
・VCC 変動補償:8 ~ 12V 利得変動, ひずみ率の変動が少ない。
・ショック音低減:VCC on, モード切換え時のAGC 時定数によるショック音低減が可能である。
とある。
この中で特にSメータ出力(リニアリティ80dB)、RF広帯域AGC機能、低歪等が期待したいところである。特にLA1600ではAGCがいじれない。
 尚LA1137では、Sメーターが100dBのリニアリティがある。いずれ使ってみたいと思う。今後のことを考えるとディスコンICはという意見もあるが、まだまだ入手可能であるようなので使用することとした。
 今回的にはあまり検討せず取り敢えずデータシートを参考に作っている。その結果としては、結構いける。特に音質はLA1600に比べると格段にいい感じである。AGCもまずまず。但し実電波ではまだ聞いていないが。SメータはS9までは素直であるが、+領域では詰まってくる。+10dB程度で飽和してくる。もちろんRFアンプがあるからかもしれない。この辺りはもう少し検討してみたいところである。LA1137ならば100dB程度のリニアリティがあるのでもう少し改善できるはずである。幸いにLA1137も入手できている。時間を見てこのあたりを掘り下げていこう。折りしもCQ誌に7MHzAMが記事になっている。AM復活の兆しか?7MHzであればこのIC1個とAFアンプでAM受信機ができてしまう。Sメータ付きで。
 RFAGC出力は、電圧が下がるタイプで、データシートではRF用のFETのドレイン電流を制御しているようである。(カスコードアンプのように)

続く

訂正:回路図修正 (2016.02.17)





5 件のコメント:

JH8SST/7 さんのコメント...

JA2NKD OM,記事拝見しております。

現代の技術を駆使したまさに「現代の自作」という内容で、敬服しております。

私もOMのように、AVRなど現代の高度な技術を駆使し、スペアナで回路の性能評価をしながら高度な内容の自作を楽しむことができるようになりたいと思っていますが、日暮れて道遠しといわざるを得ません。

AM変調に関して、自分では「高電圧小電流」の真空管を使ったプレートスクリーングリッド同時変調回路を使うのが精一杯です。半導体、特にトランジスター終段に良好なAM変調を掛けることが難しい(低圧大電流動作と、動作曲線の特徴のため)という意識が強いのですが、その辺の問題は既に解決されているのでしょうか。

続きの記事、楽しみにして勉強させていただきます。 DE JH8SST/7

JA2NKD さんのコメント...

JH8SST/7さん コメント有難うございます。

>現代の高度な・・・・
 とてもとても、現代はもっと進んでいます。

スペアナなどを使ってしまうと、気になってなかなか完成しないというジレンマに陥ってしまうようです。測定器おたくとか精度病になりそうです。

AM変調は、若かりし頃は適当にやっていましたが、測定器でみると、どうして結構難しいものですね。

今回はキャリア発振のすぐ後で掛けています。従ってそれ以降をリニア回路とし、且つ最大変調でひずまないようにしなければなりません。この辺りの調整で手こずっています。

一応は出来上がってローカルにモニタしてもらいながらやっています。

3連休はインフルエンザでひっくり返っており、今週は孫のお宮参りで東京でした。工作が進んでいません。

JH8SST/7さんは、着々と進んでいますね。7360のバラモジ。綺麗な波形ですね。この後の展開楽しみにしております。

ブログ更新はいつになるやら。

JH8SST/7 さんのコメント...

QRPハンドブックに掲載されていた3SK85のドレイン・第2ゲート同時変調に関して書き込みをしたつもりですが、操作を間違って投稿されていないかもしれません。

しかい、75A-4を使っていると、受信機としての性能は別として、改めて素晴らしい製品であると思います。

ファイアンテナはコリンズ製品の老舗のようで、CQの広告では良心的な価格が提示されています。販売品の内容には全く問題ないでしょうし、あそこから買うのが正解だったかなと思っています。今回買ったアメリカの業者も両親的でしたが、アメリカ人らしく仕事にかなりテキトーなところもありました。日本の老舗で良心的な業者なら、あんなことはまずないと思います。

JH8SST/7 さんのコメント...

3SK85に関する書き込みは消えてしまったようです。

2000年代の初頭に出版されたQRPハンドブックに、3SK85というデュアルゲートMOS FETをファイナルに3パラプッシュプルにして、ドレインと第2ゲートに変調を掛けるAM送信機の記事が掲載されていました。

FETの動作曲線の特徴のため、トランジスターよりもかなり良好なAM変調が掛かると指摘されていました。

とはいえ、低電力で良好な変調の掛かったAM波が発生したとしても、深く良好な変調を維持しながらそれをリニアで増力することも、簡単ではなさそうですね。

JA2NKD さんのコメント...

そうなんですよ。波形を順々に見ても、よく分からんのです。
ファイナル変調であれば、ドライブ不足ということですが、もともと変調が掛かっているものはどう言うこっちゃ。です。
意外と知っているようで知らないことが多いですね。

DBMに直流を掛けてキャリヤを出しA3とするものも非常に綺麗に掛かると書かれています。

これから勉強してみます。