2016年9月23日金曜日

Linear Amplifire(RD16HHF1-PP) Brushup

 以前ブログで紹介した三菱RF-MOS-FET RD16HHF1PPアンプを久しぶりに作る機会があったので、内容の見直しを行った。
RD16HHF1PP Linear
前回は出力コアに斉藤電気商会の#43材メガネコアを使用していたが、これを入手しやすい汎用コアに変えてみた。候補としてFT37-43を使うこととした。その他手持ち部品の関係からNFBの定数を0.033uF+470Ωから0.1+510Ωとした。変更点は以上である。

 メガネコアはプリント基板を写真のように作り、真鍮パイプにコア(FT37-43)を3個通し、はんだ付けを行う。この真鍮パイプが1次コイルになる。プリント板を見るとわかるように1枚はベタで、もう一枚は左右に分割されている。これにより1次側は分割、2次側は2本のパイプが電気的に接続される。
 以前は1次側も電線で1ターンしていた。2次側は従前と同じく電線を2ターンし、インピーダンス比1:4のトランスとしている。
メガネコア部材
  動作結果としては、3.5-14Mhzにいて+20dB入力で15W程度出力された。28Mhz、50Mhzでは10W程度であった。さらに入力を増加させたところ各バンド30W程度出てきたが、コアがかなり熱くなってきたのでFT37での試験はここまでとした。FT37-43では、SSSB,CW等間欠使用で20W以下が良いようだ。
コア取り付け

 それならばFT50-43で実験しようと思ったが、生憎手持ちが足りず試験できなかった。しかし十分期待できるはずである。
 ジャンク箱を漁ってみるとCBリニアをばらしたメガネコアでFT50サイズくらいのものがあったので、これで実験をして見た。なんと28,50Mhzでは50Wまで出てきた。あまり熱くもならないようだ。7,1MHzでは40W位、3.5MHzは55W位となった。これはCB(27MHz)での効率を考えたコアだったのではと推測される。3.5Mhzはよくわからないがパワフルである。
 これでFT50-43を使用した時はどのような結果になるであろうか。推測としては7,14,21MHzでも50Wが可能ではないだろうか。期待できる。
CBジャンクコア使用

 この50Wは出力MAXなので、実使用とするならば30W程度までの使用がいいと思う。
 以前よりもパワフルとなった。これはコアの違いか、NFB定数の変更か、それとも相乗効果かはよくわからない。取り敢えず入手しやすい部品でここまでできたことは非常にうれしいことだ。
 相変わらずRDシリーズはアイドリング電流(500mA@1個)なので放熱はしっかり行う必要がある。アイドリング電流を下げて使うことも考えうるのであるが、増幅率が今一となった。
 今回はここまでとする。またFT50を入手したら追加試験をしたいと思う。
schematic
回路図はDownload siteに掲載

2016年9月18日日曜日

7MHz PSN-SSB Transceiver

 TFT液晶を使ったDDS-VFOを作ったが実際に使っていないこと、またCYTECのPSN-SSBジェネレータを作ったことから、これらを使用したトランシーバーを作り始め、一応完成した。
 PSNジェネレータが送信専用なので、受信部は、一般的シングルスーパーとした。これには今まで実験した時に作った基板を流用した。

7MHz SSB Transceiver with TFT-LCD)

【送信部】
 送信部は基本がCYTECのPSNジェネレータキットで出来上がている。周波数は9MHzである。これを7MHzに変換しリニア増幅する。

送信部(Trancemitter)


  1. PSNジェネレータ
      これはCYTECのキットで資料はCYTECホームページで見られるため、興味のある方はそちらを参照願いたい。(http://www.cytec-kit.com/DL_Failes/rakuda/9MHz%20PSN-Type%20SSB%20Generater.lzh
      出来栄えとしてはサイドバンドサプレッション 30dB位 キャリアサプレッションは70dB以上であった。その昔SSB黎明期にメカフィルやクリスタルフィルタが高価でなかなか入手できない頃、先人たちは一生懸命PSNを作られたことを思い出す。当時は私もまだまだ駆け出しで、とてもまねのできない技術であったことを思い出す。AF-PSNもB&Wで2Q4という物が販売されていたようである。 今回汎用品を使用したキットとして入手できたお陰で初めてPSNを体験することになった。(CYTEC 内田さんに感謝である)
     またこのPSNはナガート型と言われるタイプであるが、昭和44年に発売されたCQhamradio別冊「SSBハンドブック」にJA7LK 高橋OMが詳しく書かれている。

  2. 周波数変換部
     9MHzのSSBを7MHzに変換するため、VFOを16MHz台としている。16-9MHzとなるのでSSBは反転する。従ってジェネレータはUSBとし返還後7MHzLSBとしている。
     変換にはダイオードリングパッシブDBMの既製品(R&K M54)を使用した。そのためLo入力には7dBm程度必要なので、DDSからの信号をFET(2SK125)で1段増幅して供給する
  3. 段間増幅
     ジェネレータ出力は-15dBm程度であり、変換出力は-21dBm以下となる。これを最近気に入っている2SK125x2カスコードアンプで20dB近く増幅する。この上部FETのゲートに与えるDC電圧でゲインがコントロールできる。これをパネルに取り付けパワーコントロールできるようにした。
     その後RD00HHS1でMAX300mW程度まで増幅させている。このRDシリーズのパワーFETは、以前ブログで紹介したものだ。素直に力強く増幅してくれる。
  4. リニアアンプ
     これも以前ブログで紹介しているが、今回も素直に働いてくれている。RD16HHF1PPでMAX20W近くまで出力している。さらに入力を増やせば30W近くまでいける。近いうちに再度このFETについて追加実験をする予定である。今回は最大出力15Wに調整した。

  5. 出力メーター
     今回のTFT液晶表示にはSメータとともに出力表示ができる機能がある。検出は最終LPFの出力部から抵抗分割で拾いダイオード検波している。当初これを直接arduinoのアナログ検出に入力したが、動作が早く一瞬しか表示してくれなかったため、AGCと同様にOPアンプのバッファを設け入力にコンデンサーと抵抗によるディレーを設けることにより見やすくさせた。
【受信部】
 受信部はシンプルなシングルコンバージョンである。
受信部(Receiver)

  1. RF増幅
     2ポールBPFのあと2SK125x2カスコードアンプによるRF増幅を設けている。これは送信部に使ったものと同じである。やはりゲート電圧のコントロールをパネルに設けRFゲイン調整とした。7MHzなのであまり増幅しなくても十分なで、ゲインコントロール最小でも十分と思われる。可変範囲は15dB弱であった。
  2. 周波数変換部
     ここにはSN16913を使用したアクティブミキサーとしている。これは以前実験で使用したもので、外付け部品が少なく、且つ変換利得が得られる。当然IM3には不利だと思われるが、IF増幅等の負担を減らせることも考慮し採用した。但しこのICはとっくにディスコンとなっており入手は難しいと思う。VFOの入力は-6dBm~0dBmがいいようであった。
  3. フィルタ
     フィルタも以前ブログで紹介した8pol_chebychevを使用。

  4. SSB検波
     検波は、これも以前のTEST受信機で作ったuPC1037HAを使った。素直に動いて音も良いようだ。
  5. キャリア発振
     これも流用品。特に解説の必要もないと思う。LSB用とUSB用がある。
  6. AF
    これもジャンクラジオの部品でカーステレオなどによく使われたICでTA7204Pで5W位の出力がある。
【TFT VFO】
 最近Arduinoを始めて、このDDS-VFOを作った。その最初の実用品である。今回モード変更は使っていない。その他の機能については全て使用している。SメータやPoメータの表示もどうにか使えそうなことが判った。ただ、ある程度ハードで検出信号を加工したり、スケッチ(ソフトウェア)を変更したりと多少ノウハウが必要で、誰でもすんなりとはいかない。もう少しインターフェース等標準化したいと思う。
TFT DDS VFO
  1. DDS
     DDSは例によって中華製のAD9850を使用している。基準水晶発振器は125MHzを外し46MHz台の手持ちのものに変更している。これはユニットについているものが異常に熱くなることと消費電流が大きいからだ。どうも3.3V用ではないかと思う。試しにこのDDSユニットを3.3Vで動作させても問題なく動作している。なお水晶発振器の変更に伴いArdunoのライブラリー変更が必要だ。この辺りも多少ハードルが高いかもしれない。
  2. 周波数設定
     今回送信部と受信部は独立している。その為送信用VFOと受信用VFOでは発振周波数が違う。このためArduinoのスケッチにおいて送信用と受信用別々にシフト周波数を設定している。これをきっちり合わせないと送受信で周波数が一致しない。ある程度計算で出せるのではあるが、最終的にはモニタしてもらい誤差確認をせねばならない。
【動作】
  実動作はまだ受信部のみで送信部はダミー送信のみである。受信感度は十分と思えるが、IF段のMC1490がどうもノイジーで少しうるさい。
 送信部はモニタでは一応SSBになっている。近々ローカル局にモニタしてもらう予定である。 数十年無線をやっているが、PSNは初めてである。感動ものである。
 また今回使用しているArduinoによるTFTカラー液晶表示は実に綺麗だ。今までキャラクタLCDの16文字x2行表示とは比べ物にならないほど、きれいで情報量も多い。キャラクタLCDには戻れないかもしれない。まだ沢山在庫してしまっている。使い道を考えねば。

 受信のみ動作をyoutubuにアップしました。
 以下に回路図を掲載するが、記憶で書いているので、ミスがあるかもしれません。参考程度としていただければ幸い。不明点があれば、コメントかメールでお願いします。
受信部回路図(schematic Receiver)

送信部回路図(schematics Transmitter)

VFO回路図(schematics VFO)