いつもお世話になっているJH8SST 八柳さんがCQ誌新年号に7Mhz Simpleceiver を発表された。シンプルな構成であるが、7MHzにおいては十分な性能を発揮している。回路図を見てみるとFETを使用したカスコードアンプが採用されている。回路はN6QW Peteさんが発表しているSimpleceiverである。PeteさんはJ310x2のカスコードアンプをRF-Amp、IF-Amp、Detecter等に使用した受信機を多く発表されている。以前お世話になっているKさんからN6QW Pete氏のArduino、TFT液晶、Si5351のVFO情報を教えて頂いたときに、このカスコードアンプに興味を持った。以後何回かこの回路を使ってきたが、非常に便利であることを痛感した。然しながらこのカスコードアンプの特性については詳しく調べていなかったので、改めて簡単に特性を調べてみた。
最近では3SKタイプのFETも入手難であることからゲインコントロールやミキシングが出来る回路は大変助かる。
ARRLの「Experimental Methods in RF Design」 ( W7ZOI氏 他 著)に幾つか回路が掲載されていたので、これを見本に実験を行った。
実験は上図を参考に以下の回路図の3通り行った。
【Fig1】
最近では3SKタイプのFETも入手難であることからゲインコントロールやミキシングが出来る回路は大変助かる。
ARRLの「Experimental Methods in RF Design」 ( W7ZOI氏 他 著)に幾つか回路が掲載されていたので、これを見本に実験を行った。
実験は上図を参考に以下の回路図の3通り行った。
Schematics |
2SK125を2個使用した回路で入出力は非同調のトランスマッチングでコイルは共に20:4である。
回路のミソは、下段FETのソースにダイオードを4個直列にして回路全体を持ち上げていることである。これによりゲートの動作範囲を大きく出来る。
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
【Fig2】
2SK125と2SC1815を使用した回路で、後はFig1と同じ
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
(注) VG2としているが2SC1815のVb
【Fig3】
2SK125と2SC1815を使用し、入出力を同調コイル(狭帯域 50MHz)としたもの
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
上記のような結果であった。Fig1,Fig2は入出力非同調であるが、広帯域とまでは行かなかった。これはコイルの特性等によるものと思われる。
Fig2のFET+TRの場合のほうが帯域は多少広がっている。IF辺りに使用する場合にはどちらでもいいと思う。
Fig3の狭帯域は予想通り十分な増幅度が確保できている。(50MHz)
【コントロール電圧】
Fig1,Fig2においてコントロール電圧を変化させたときの増幅度変化を以下に示す。
FET+FETは変化がリニアである。FET+TRはリニアではないが大きな変化量を確保できる。
受信機のIFアンプ等に使用した場合、聴感がどうなるかは分からないが問題にはならないと思う。今後実験をしてみたい課題だ。
FETの入手難を考えるとFET+TRを使用していきたいと思う。
QST200712月号にW7ZOI,WA7MLH共著で「The Hybrid Cascode A General Purpuse AGC IF Amplifire」を掲載している。これを見ても問題は無いということだと思われる。
【応用】
このカスコードは、3SKタイプのFETのようなものであることから、当然であるが、周波数変換やSSB検波にも使用できる。現にN6QWさんはプロダクト検波に使用したSimpleceiverを発表されている。
ゲート回路のダイオードであるが、シリコンダイオード4個なので0.6Vx4=2.4V近辺となるが、W7ZOIは4個だったり5個だったりしている。そこで発光ダイオード(2V位)を使用してみたが、多少変化量が少なくなるものの十分使用できた。流れる電流は最大で25mA位であったのでこれに耐えられる発光ダイオードであればいいと思う。変化量で明るさが変わりカラフルで楽しい。
FETであるが、原典はJ310である。2SK125はほぼ互換と言われている。これもディスコンで流通在庫分しかなくなってきているようだ。2SK192等でも実験したが、IDssが小さなものは変化量が十分取れない。AGC等で変化量を大きく取りたい場合はIDssが大きなものを選択する必要がある。
2SK125は入手が難しくなってきているが、J310はまだまだ入手が容易である。すこし在庫しておくのもいいだろう。
昔からある回路テクニックであるが、あまり応用された例は見ない。もっと積極的に使われてもいいと思う回路だ。例えば、送信機のポストアンプに使って出力コントロールを行うとか、DDS出力の安定化ALC回路、RFアンプのゲインコントロール等、色々な回路に応用できる。
今回はあまりきっちり試験をしていないので、こんな感じであると見ていただき、各自色々応用してみては如何。
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
MAX |
MIN |
2SK125と2SC1815を使用した回路で、後はFig1と同じ
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
MAX |
MIN |
【Fig3】
2SK125と2SC1815を使用し、入出力を同調コイル(狭帯域 50MHz)としたもの
コントロール電圧を変化させたときの最大、最小の周波数特性を以下に示す。
MAX |
MIN |
上記のような結果であった。Fig1,Fig2は入出力非同調であるが、広帯域とまでは行かなかった。これはコイルの特性等によるものと思われる。
Fig2のFET+TRの場合のほうが帯域は多少広がっている。IF辺りに使用する場合にはどちらでもいいと思う。
Fig3の狭帯域は予想通り十分な増幅度が確保できている。(50MHz)
【コントロール電圧】
Fig1,Fig2においてコントロール電圧を変化させたときの増幅度変化を以下に示す。
FET+FETは変化がリニアである。FET+TRはリニアではないが大きな変化量を確保できる。
受信機のIFアンプ等に使用した場合、聴感がどうなるかは分からないが問題にはならないと思う。今後実験をしてみたい課題だ。
FETの入手難を考えるとFET+TRを使用していきたいと思う。
QST200712月号にW7ZOI,WA7MLH共著で「The Hybrid Cascode A General Purpuse AGC IF Amplifire」を掲載している。これを見ても問題は無いということだと思われる。
Control-V VS OUTPUT |
【応用】
このカスコードは、3SKタイプのFETのようなものであることから、当然であるが、周波数変換やSSB検波にも使用できる。現にN6QWさんはプロダクト検波に使用したSimpleceiverを発表されている。
ゲート回路のダイオードであるが、シリコンダイオード4個なので0.6Vx4=2.4V近辺となるが、W7ZOIは4個だったり5個だったりしている。そこで発光ダイオード(2V位)を使用してみたが、多少変化量が少なくなるものの十分使用できた。流れる電流は最大で25mA位であったのでこれに耐えられる発光ダイオードであればいいと思う。変化量で明るさが変わりカラフルで楽しい。
FETであるが、原典はJ310である。2SK125はほぼ互換と言われている。これもディスコンで流通在庫分しかなくなってきているようだ。2SK192等でも実験したが、IDssが小さなものは変化量が十分取れない。AGC等で変化量を大きく取りたい場合はIDssが大きなものを選択する必要がある。
2SK125は入手が難しくなってきているが、J310はまだまだ入手が容易である。すこし在庫しておくのもいいだろう。
昔からある回路テクニックであるが、あまり応用された例は見ない。もっと積極的に使われてもいいと思う回路だ。例えば、送信機のポストアンプに使って出力コントロールを行うとか、DDS出力の安定化ALC回路、RFアンプのゲインコントロール等、色々な回路に応用できる。
今回はあまりきっちり試験をしていないので、こんな感じであると見ていただき、各自色々応用してみては如何。
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