2020年8月17日月曜日

Auto antenna tuner "AT-100"


コロナ自粛中にebayでポチッ Auto antenna tuner "AT-100" 
非常に小型で1.8MHz-50MHz、100wまで使用できるとのことである。
基本開発はN7DDC OM。例によって中国製のキットとして販売されている。
キットには0.96inchOLED付き。

【製作】

部品の確認(上の写真を参考に)
小さい部品からはんだ付けをしていく。製作のマニュアルは見つからなかったので回路図とプリント基板のシルク印刷を頼りに取り付けていく。
一部ミスプリントもあるが、回路図とシルクで判断。(回路図にもミスがある)
空芯コイルは直径4㎜と6㎜であるが、ドリルの刃を利用すると綺麗に巻ける。(巻き数は回路図にある)
信号回路につながるコンデンサーは一応高耐圧と思われるものがすでに基板にはんだ付けされている。制御用PICマイコンもはんだ付けされている。
製作はそれほど難しくないと思う。
ただ、オプションのスイッチ(バイパスSWとオートSW)は端子に出されておらず、基板から直に線をはんだ付けする必要がある。(下の写真参照)

OELDの配線は下の回路図を参照

ケースに入れて完成


【動作試験】
 まだあまり試験していないが、
 電源を入れるとOLEDに表示が出る。Power,SWR、L,C表示される。
送信を行うとリレーが動作し、整合が始まる。
 スイッチはBYPASS(チューナー無し)AUTO(自動)TUNE(設定がリセットされる)
結果は、そこそこの整合。どうしても簡易回路であり、コイル、コンデンサーの設定が7段しかないので粗い。SWR<2であればOKという感じである。そのため整合範囲も狭いと思われる。π型にはかなわない。
 回路は送信機にコイルが直列接続され、アンテナ側にコンデンサーが並列に接続される。
ローコストなので致し方ない。
 また、出力、反射等のレベル調整がないので、正確さは不明。一応手持ちのSWR計でみて下がることは確認できた。もう少し実験をする必要がある。尚、動作させるには最低5W以上が必要である。
 マイクロコントローラーが私の苦手なPICなので、今のところ改良もできない。
機会があれば、もう少し実験してその結果でも報告できればと思う。
 まあ、この価格でこのようなキットが出てきたことに驚きである。N7DDCに感謝。

73's  de JA2NKD

Attention about Rotary encoder library

 Recently, there was a inquiry that the rotary encoder did not work in the sketch of arduino.

Upon investigation, I found that the library of rotary encoders I'm using has been updated. For the new library, you need to add the instructions(r.begin();) as follows:

void setup() {
     r.begin();
    PCICR |= (1 << PCIE2);
    PCMSK2 |= (1 << PCINT18) | (1 << PCINT19);                                                                                
    sei();
}

No error will be issued without this command, but it will not work.

It may need to be changed depending on the library you are using.

If that doesn't work, try this change.

Let's enjoy homebrew.

73's      de JA2NKD    Ryuu

2020年8月8日土曜日

TRIO TR-5000 External VFO

 ※ 2020.08.30 Corrected the schematic

TRIO(KENWOOD)TR-5000  1968年販売開始されたAM,FMトランシーバー。OMならご存じではなかろうか。
受信はVFO,送信はクリスタルというスタイル。当時はこれでも結構QSOができた時代である。最近ではクリスタルの特注も難しい(特にHC-6Uタイプは)。
SDRが主流となってきた昨今いまさらAM,FMとも思うが、ノスタルジアだろうかAM通信もまだまだ愛好家が頑張っています。SDRではだれが作っても同じ性能のものになってしまいます。アナログ機器は作り手によって性能が大きく変わる。そこが楽しい。
 そんなことで、今回物置からTR-5000を引っ張り出し、外部VFOを製作しました。
ただの外部VFOでは面白くないので、周波数表示と送受信トランシーブVFOとした。


【構想】
・できるだけ本体は改造しない。
・トランシーブ操作
・周波数表示
・Arduino nano
・Si5351




【回路】
 受信用VFOの出力コイル2次側からFET(2SK241)ソースフォロワーで取り出す。出力は-25dBmくらいなので、MMIC(SGA-6386)で0dBm程度まで増幅する。これをさらに増幅、波形成型し74HC90で1/10に分周しArduinoによる周波数カウンターに入力する。
 カウンターの入力回路はJE1UCI冨川OMがICOM BEACONエレクトロニクス工作室No.134で発表されている回路を使用させていただいた。この回路は感度もいい。調整は2SC1815のコレクタ電圧を2.5Vにする。
 Arduinoに入力された信号はゲートタイム1秒でカウントし、LCDに表示する。また送信時(PTT ON)にカウントした周波数から送信周波数を計算し、Si5351PLLで送信出力を生成し外部VFO入力(外部クリスタル)に出力する。例えば
受信周波数 50.600.000の場合 VFO=50.6-41.58+1.65=10.67MHz
カウンタ入力=10.67/10=1.067MHz
なので表示数は(1.067*10)+39.93000=50.600MHzとなる。
送信周波数は24逓倍なので 50.6/24=2.108333MHzとなる。(Si5351出力)
 これで受信周波数によるトランシーブ操作VFOとなる。
 一つ問題がある。Arduinoの基準クロックは16MHzであるが、正確ではない。またSi5351の基準クリスタル25MHzも正確ではない。そこで、この補正を行うため、ロータリーエンコーダーを使いキャリブレーションできるようにしてる。
 操作は、運用周波数を受信し、CALスイッチをONにし、エンコーダーでメーターの振れが最大になるようエンコーダーを回す。これで送受信が一致して運用できる。電源を入れて1回操作をすれば大きくずれることはない。AM,FMなので問題ない。
 また、プログラムの中でカウンタの補正も行っている。既知の周波数を入力し表示周波数を見る。この比率で補正計算を行っている。
 例えば正確な10MHzを入力し10.00500MHzとなったら、計数0.9995を補正値とする。
 古い機器を再生させようと思っているOM諸氏の参考になれば幸い。

Arduino Sketch & Schematics(tr5000_counter.zip) Download
73's







2020年6月30日火曜日

VFO Controller 8.0 (Aruduino Due with touch panel)


多機能のVFOを製作しようと考えると、どうしてもスイッチが多くなる。例えばVFO7.1では12個のスイッチを使用した。こうなるとパネル製作も一苦労である。今回タッチパネル付きのTFTを使用し外部スイッチの削減を試みた。最近のメーカー製トランシーバーやSDRもほとんどがタッチパネルを採用している。どうせ作るなら盛り沢山の機能を搭載することにした。最近の私にとっては、ちょっとしたチャレンジである。尚、このVFOはアナログトランシーバー向けのVFOです。
【Hardware specification】
  • VFO  Si5351a PLL
  • TFT  2.8inch TFT with Touch Panel
  • MPU   Arduino Due
  • EEPROM 24LC64
【Software specification】
  • MODE  LSB,USB,CW,FM,AM
  • BAND  1.9-50MHz (Japanese Ham band),0-60MHz(General caverage
               Transverter mode(144MHz,430MHz,1.2GHz)
  • VFO     A-channel B-channel every band
  • VFO Type  Up-conversion Down-conversion chooseable
  • Memory  50channel 
  • CAT  CAT Controll (Frequency,Mode) for Ham Log Software
【manual】
[VFO-A]をタッチ
 サブメニューが開きます。
A/B VFO-AとVFO-Bが入れ替わります。
A->B Aの周波数をBにコピー
B->A Bno周波数をAにコピー
SPLIT メインが受信 サブが送信となりスプリット送信が可能となります。




[USB]をタッチ
 サブメニューが開きLSB,USB,CW,FM,AMの変更ができます。
[BAND]をタッチ
 サブメニューが開きます。希望のBANDをタッチすれば移動します。
[GEN]はGeneralで0-60MHzまで連続可変できます。送信はできません。
[TRV]はトランスバーターでサブメニューが開きます。144MHz,430MHz,1.2GHzが選択できます。この場合書くBAND毎にオフセット周波数を設定できます。イニシャルでは28MHz帯が出力されるように設定してあります。
[MENU]をタッチ
 サブメニューが開きます。
[M/R] メモリチャンネル呼び出し。1-50CH UP/DOWNで選択
[M/W] メモリーチャンネル書き込み。1-50CH UP/DOWNで選択。書き込みは上書きされます。
[PLLSet] Si5351aのクロック周波数を設定します。UP/DOWNスイッチでVFO出力を10MHzにセットし記憶します。
[CLAR]をタッチ
Cralifire(RIT)メニューが開きます。
[CLAR-R] 受信用Clarifire
[CLAR-T] 送信用Clarifire
[OFF] Clarifire 停止

[V-Type]をタッチ
VFOをUPConversionにするか、DownConversioにするかを設定します。BAND毎に設定可能です。

【Make】
 今回MPUにArduino Dueを使用。nano,UNOではメモリー容量が足らないことからの選択である。DueはEEPROMがないため24LC64というI2CのEEPROMを付加した。構成はI2C制御のSi5351、24LC64 SPI制御のタッチパネル付きTFT(driver ili9341)及びロータリーエンコーダーといたって簡単な構成である。またDueには2個のUSBが搭載されており、1つはプログラミング用 もう一つは外部との通信用に使える。今回これを使用し簡単なCATコントロールを搭載した。現状HamLogに対応している。
 注意点としてDueは3.3V動作なのでI/Oも3.3Vである。このおかげでTFTとダイレクトでの接続が可能である。半面 外部とのインターフェースも3.3Vが上限であることに注意が必要である。バンド情報、モード情報等の出力は3.3Vとなる。まだたくさんのI/Oが余っているので、追加機能も可能。


【Software】
 スケッチその他ライブラリー等はDownload Siteに掲載してある。
 タッチパネルを使用するには、最初にCalibrationが必要である。このやり方についてはライブリーの説明を読んで対応してください。Calibration スケッチもSiteに一括して掲載してある。

【CAT】
 CAT Controlle を搭載しました。ただし現状最低限でHam Logに周波数とモード情報を送ることができるだけです。今後機能を増やそうかとも思いますが、今のところ必要性を感じていません。多くの希望でもあれば対応するかもしれませんが。まあ、そんなことはないと思いますが。(笑)

 出来立てなので、まだBUGがあると思います。何かあればコメントでもお寄せください。

73's de JA2NKD

2021.05.13 回路図 修正




2020年3月25日水曜日

熊本シティースタンダード(Tachikawa_Version)

熊本シティースタンダードと冠するのはおこがましく、OM諸氏からお怒りをいただくかもしれないが、イメージを手っ取り早くご理解いただけるかなと思い敢えて付けさせていただいた。
 熊本シティースタンダード(以下熊本標準)といっても、これをご存じの方はかなりのOMさんだと思う。1981年7月号のCQ Ham Radioに掲載されたJA6BI田縁OMの「モノバンドSSBトランシーバー」が自作Hamに広がるきっかけだろう。これに呼応して秋月電子で「KUMAMOTO STANDARD SSBジェネレーターボードキット」として販売された。これに挑戦されたOMも多いないのではないでしょうか。
 それまでSSBトランシーバーの自作は難しいものだと思っていたのが、一気に実現可能なものになったと思う。私もこのキットを購入して自作した一人である。昨今ちらほら再現されている方があるようだ。しかしながら当時入手できたパーツも時代とともにディスコンとなり、同じものを作るのは難しくなってきた。また、最近のSDR等高機能なものが主流となってきているが、やはりアナログの機械には愛着がある。そこで今回熊本標準を基本に現代版を作ってみようとスタートした。

【コンセプト】
 今回のプロジェクトの基本コンセプトは熊本シティースタンダードの現代版と位置づけている。従って基本構成は標準方式に準じている。これを現代版とするため
・現在国内で購入できるパーツを使用
・当時よりは少しは高性能にしたい
・基本はアナログ回路
このコンセプトに製作することとした。

【構成】
Block Diagram
左図に熊本標準とTachikawa_Versionのブロック比較を載せた。色付きの部分が主に変更しているところ。マイクアンプ、DBM、AGC、IF_AMP、Linear_AMP部分








【SSBジェネレーター】
Generator_Schematics
 受信部は、熊本標準では、中間周波増幅2段であるが、やはりAGCのダイナミックレンジ不足は否めなかったので、今回は3段とした。
 使用するFETは、熊本標準が3SK45であるが、今回は秋月で購入できる3SK294を使用した。このFETは3SK45のようなデプレッションタイプではなく、エンハンスメントタイプである。つまりG1のバイアスがプラス域となっている。
 クリスタルフィルタは、熊本標準では
Generator
CB機用のものが当時格安で入手出来ていたが、現在では特注となって非常に高価なものになる。今回は安価に入手できるクリスタルでラダー型フィルタを使用した。ラダー型フィルターに関してもJA6BI OMがHam Journalに詳しく解説されていたので自作派の方にはなじみ深いと思う。今回はサトー電気等で入手できる10.695MHzのクリスタルを選択し6段とした。
 AGCはIF出力コイルのホット側から取り出し、エミッタフォロワーを経由して検波し、1段目のオペアンプで直流増幅し、Sメーター出力を取り出すとともに2段目のオペアンプの反転入力に入れ、電圧オフセットを行いAGC出力としG2にかけている。尚、RFアンプにもAGCが掛けられるよう端子に出力している。
 3SK294は非常に高性能であるが、G1のバイアス調整が非常にクリティカルであるため、ボリュームで電圧調整できるようにし、中間周波増幅各段に供給するようにしている。また、AGCのダイナミックレンジを広くとりたいことから、かなり電流を多く流れるセッティングとしている。このことで受信時の消費電流が大きめとなってしまっている。移動運用等の電池駆動では少々つらいかもしれない。
 AFはお決まりのLM386で、NFBを掛けてノイズを抑えている。
 復調は、熊本標準ではダイオードDBMであるが、今回は秋月で購入できるNJM2594を使用した。このICはuPC1037H互換となっている。
 送信部は、マイクアンプとしてオペアンプを使用。これを受信と同じくNJM2594により変調をかけている。マイク入力レベルでひずまないようレベル調整が重要である。
 変調出力を2SK192で増幅しフィルターに入力している。
 NJM2594は、入力端子に電圧をかけることによりキャリアバランスをとることができるので、ボリュームで最低レベルとなるように調整する。データシートでは標準-40dBとなっており、一般的なレベルであるが、もう一息下げたいところである。
 キャリア発振は、熊本標準同等の回路である。水晶はフィルターと音字10.695MHzの推奨を使用。LSBの場合はフィルタより高い周波数なのでコンデンサーで簡単に調整できるが、USBの場合はフィルタ周波数より低くなるので、コイル等で少しVXO的にする必要がある。

【コンバーター】
Converter & Linear
今回は50MHzとした。構成は熊本標準とほぼ同等。
 周波数変換もダイオードDBMと同じ。これはジェネレーターから出てくる送信信号のレベルが高いため、NJM2594ではオーバー入力となるためである。
 RFアンプはIFと同様3SK294である。これはIFと同じAGCを使用するためであり、やはりG1のバイアスがクリティカルであるため半固定抵抗で調整している。
 送信リニアアンプには
Converter ,Linear,Counter
AFT05MS004NT1を採用した。このFETについてはこの前のBlogに掲載したものであり、非常に高性能なものである。+10dBm入力で5Wが期待できる。今回の構成では少しドライブが低いため、口笛MAXで3Wとなった。もう1段追加すれば5Wにすることができるが、無理に追加するまでもないと思い、このままとした。
出力にはお決まりのLPFを追加しスプリアス抑制をしている。

【VFO】
VXO_Schematics
VFOは、今どきはDDSかSi5351PLLと売るところであるが、熊本標準に倣って敢えてVXOで製作した。
 VXOに使用するクリスタルのみが入手しずらいものである。現在特注で製作できるところはアロー電子だけと思われる。
 幸いにもジャンク箱に13.2MHzのクリスタルがあったのでこれを3逓倍し39.5MHz付近としてIFと合成し50MHzを生成してい
VXO
る。基本波で発振させVXOとし、約30kHz可変とした。これ以上では自励発振に近づき安定度がすこぶる悪くなる。
可変範囲は50.16-50.27MHzとなった。概ねSSBバンドで使用できる。
 また、参考にZL2PD作のSi5351PLL(一部アレンジしているが)を使用したVFOの回路図を載せておいた。非常にコンパクトで、よくできており気に入ったものである。興味のある方は、氏の記事を参照願います。勿論拙作のarduinoVFOでもいい。(笑)

【製作】
 筐体はセッツ金属のSB-11(現行品)を使用した。しっかりした筐体でモンバンドトランシーバーには使い勝手が良いケースと思う。上下2段とし、下部にジェネレーターとVXO
、上段にコンバーター、リニア、リレー等を乗せた。
 また、今回周波数表示に秋月の周波数カウンターキットを使用した。このキットはIF周波数シフトがソフトで設定できるため、直読とするところがいい。ただ、基盤が少々大きいこと、7segLEDが大きくパネルに収まらないため、手持ちの小型LEDに変更した。詳細は秋月電子で調べていただくこととしてここでは、省略させていただく。
 試作なので各基板はユニバーサル基板を使用して製作した。できればプリント基板としたいところであるが、苦手である。
 主要部品購入先は、
  秋月電子 (FET,OPAMP、NJM2594、カウンターキット)
  サトー電気(クリスタル、FCZコイル)
  マルツ  (AFT05MS004NT1)

【使用感】
 今回のジェネレータは、3段IFであることから結構AGCダイナミックレンジが取れているため、聞きやすく仕上がった。また、内部ノイズも非常に小さくアンテナ入力を外すとAFボリュームを上げても気になるようなノイズ音はしない。今まで製作したものの中ではトップクラスである。
 送信はMAX 3W QRPとしてはちょうどよいかもしれない。ローカルにモニタしていただいたところ、以前製作したPSN送信機と比較すると、まあ普通の音とのこと。合格点はいただけるとのことであった。
 今回は熊本標準を意識したので、特殊なものは使わないこととしたが、現行パーツでそれなりに製作できたことは、非常に満足であった。
 やはりアナログは難しいし、面白い。40年近く前の回路であるが、現在でも自作派では標準ではないだろうか。デジタル器機では味わえない満足感を感じるのは、私だけではないと思う。敢えて熊本スタンダード(Tachikawa-Verion)としたことをお許しいただきたい。尚、Tachikawaとは私のHomeシティーのことです。

Let's enjoy homebrew.
DE JA2NKD 

2020年1月27日月曜日

RF Power LDMOS Transistor

 昨今RF用のパワートランジスタが入手できなくなってきた。最近私が好んで使っているのは三菱のRDシリーズ(RD16HHF06等)である。好んでというよりは選択肢がないというのが正解であろう。非常に使いやすいが、アイドリング電流が大きい等の課題もある。
 そんな折、自作仲間からMOSが良さそうだという情報を頂いた。早々色々検索をしてみたが、自作で使用している例はほとんどなかった。そこで実験をしてみることにした。
 候補としては、国内である程度の価格で購入できるRQA0009TXDQS(RENESAS)とAFT05MS004NT1(NXP)とした。
いづれも400MHzで5W程度のFETで、中華製のハンディートランシーバー等に使用されている。実際にいづれもHF,VHFで5Wの出力を確認できた。データシートのデータではいづれもVd=7.5Vとなっていて、やはりモバイル用機器用と思われる。2つを比較するとRQAのVdss=16Vで13.8V仕様では低すぎる。AFTはVdss=30Vでどうにか13.8Vで使えそうであることが分かった。マージンを考えると40Vはほしいところである。もちろん13.8VでAMは無理である。CW,SSBなら何とか使用できそうだ。実際に使用して確認していきたい。
 ということでAFT05MS004NT1で製作してみた。AFT05MSはLDMOSというFETで最近の主流となりそうなものである。

 使用例がないので、いつもの定番回路で実験してみた。
入力はコンデンサー直結の非同調で、バイアスを可変抵抗で調整できるようにした。また、ゲート側の抵抗を分割し51オームでAC負荷とした。これにより信号源インピーダンスを落ち着かせることができるのではと思っている。
 出力側はトロイダルコイル(FT-37-43)による広帯域とした。回路図と写真を参考にされたい。

 この回路で動作させた結果をグラフで示した。思いのほか高性能である。また、同一回路で三菱のRD16HHF06を使用したものよりも広帯域に動作し、HF~50MHzにおいてほぼ同様の結果となった。50MHzでも増幅度27dB程度ある。(fig1) 効率も60%を超え優秀である。Vd:13.8V アイドリング:100mA 入力:10mW 出力:5W Id:0.6A)

 入出力特性もリニアである。非常に良い結果が出た。周波数で50MHz以上で低下しているのは回路設計の問題で、VHF,UHF用に設計すれば同様の特性が得られることは間違いないと思う。(fig2) もともとVHF,UHF用だから当然である。
 この結果は大いに満足できる。HF~50MHzのオールバンドトランシーバー製作に弾みが付きそうだ。

 今後の課題は、形態がSOT-89というチップタイプであり、十分放熱できるように取付方法を検討する必要がある。写真のような基板構造では放熱効果が低く基板がかなり熱くなり、基板上の部品の温度変化等も含めアイドリング電流が増加していく。冷えれば戻るが。実験ではCW連続信号なのでなおさらであるが。SSBならこれよりはましだとは思う。
一応この構造で5分の連続運転でも無事ではあった。
 このAFTシリーズには、15W,30W出力のものもあるようなので、機会があれば入手して実験したいと思う。

 これがうまく稼働すれば、2SC1970,2SC1971,2SC1972といったトランジスタに代わるものとして使用できるのではないかと期待している。
 尚今回JA2GQPさんが基板を製作され提供して頂いた。いつもながら深謝。
 FETの入手先はマルツ(Digi-key代理店)

DE JA2NKD

2020年1月2日木曜日

Happy New Year 2020

本年も宜しくお願いいたします。
                         JA2NKD Ryuu