2012年12月27日木曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (3)


回路図&外観

 いよいよ回路製作。最初は受信回路のフロントエンドである。受信機のトップには周波数選択回路と高周波増幅回路がある。ローバンドであれば高周波増幅は不要な場合もあるが、28MHや50MHzともなるとこれが必要である。







28MHzBPF特性
【バンドパスフィルタ】
 周波数選択回路は28MHzと50MHzのバンドパスフィルタをリレーで切替えている。必要な帯域幅でフラットな特性となるように製作することが求められる。今回は例によって「トロイダル・コア活用百科」の2ポールバンドパスフィルタを基本とした。 28MHz帯は28-29.7MHz 50MHz帯は50-54MHzのHamバンド帯域をカバーする。 実際の製作では、設計例のコイルにアミドン社のT-37を使用しているが、手持ちの関係でT-25を使用している。線材も0.8mmのところ0.27mmを使用。巻き数は同じ。また使用コンデンサーも手持ちの中で近いものを使っている。手持ちの材料で取りあえず作ってみようということだ。
50MHzBPF特性
 調整は、各周波数2個のトリマコンデンサーで行う。片側から高周波信号を入力し、OUT側を50Ωで終端して高周波電圧計でレベルを見る。中心周波数でピークに設定して、2個のトリマーを少しずつ回して帯域を広げていく。この辺りは、何回も経験しないと難しい。根気のいる調整である。
 昨今はスペクトラムアナライザーがオークションで入手できるようになってきているので(といってもそれ相応の値段ではあるが)、これを使えばこの調整が簡単に出来る。それで調整したときの特性を載せておく。実際の特性では、28MHzでは、帯域がぎりぎりで、挿入損失が1.5dB程度と設計値より悪くなっている。段間の結合コンデンサー(6pF)を少し大きくした方がよいかもしれない。50MHzでは概ね良好であるが、28MHzほどフラットとはならなかった。幸い両周波数での挿入損失が1.5~1.8dB程度なのでこれでよしとした。
  
【高周波増幅回路】
 トップの高周波増幅回路に要求されることは、ノイズが少なく、高入力信号に対しても歪の少ない回路が求められる。これらはNFとかIM3などという数値で表されている。メーカー品のカタログ等に記載されている。製作例では2SK125を1個~2個使用したものが多い。過去には、パワーFETを使用した送信機並みのアンプを使用したものもあった。今回は、すいている28,50MHzなので、混変調特性などあまり気にせず、トランジスタアンプを使用した広帯域アンプとした。ただし、NFBをかけたアンプとしてみた。理由としてはローノイズとバンド毎の増幅度を一定にしたいからだ。回路は例によって「トロイダル・コア活用百科」に掲載されているものである。定数もそのまま。特性は、目的周波数で18dBの増幅度で一定となっている。2信号特性は測定していないが、いづれやってみるつもりである。

つづく


2012年12月23日日曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (2)


フロントパネル1
(1)で、箱先派か箱後派かと書いた。箱が先だとどうしても大きめの箱になるような気がする。箱が後だと入るような箱を探すこととなる。しかし箱(ケース)もある程度限定されたものしかないわけで、選択の余地はあまり無い。
 自分的には鈴蘭堂のケースが好きであったが、廃業して久しい。今は「TAKACHI」が圧倒的のようである。
今回は、箱と中身同時というか、ある程度回路構成が出来上がってきた頃に不良在庫(オークション効果)から選択した。アイデアル(摂津金属工業)のTC-220R(赤色)である。現行品では、TC-220C(クリーム色)で、赤色はなくなったようである。アイデアルといえば真空管時代はここのケース、シャーシーが多かったと思う。
フロントパネル2
さてこのケースであるが、フロントは黒色のパネルとサブパネルの2重となっている。中はサブシャーシーも何も無い。結構加工に苦労する。
 加工は(1)に掲載した加工図を元にしている。

【フロントパネル】
 フロントパネルと、サブパネルは、同じ加工である。メーター、LCD、スイッチと3箇所の角穴が必要である。開口の加工は大変であることは皆さんも承知のことであろう。丸穴は、ドリルとリーマーがあればできるが、角穴はそんなわけには行かない。ハンドニブラで大方の大きさに開け、ひたすらヤスリで仕上げていく。これ
が難しい。正確に長方形にするには、器用さと根気がいる。
フロントパネル3
今回は、たまたま仕事関係のお知り合いの板金屋さんがいて、「こんなのレーザー加工機で簡単にできますよ」というお話があり、思わず職権乱用でお願いしてみた。「今時はレーザーなんだ」と世間知らずでした。できあがったのが写真の「フロントパネル1~3」である。見事なものです。さすがレーザー。但し難点が一つある。「写真2」がパネルの裏側であるが、結構傷がつく。またフロントパネルのように色つきのものは、開口付近の色がレーザーで飛ばされる。従って、再塗装が必要となる。しかしアルミの塗装は、これまた難題である。今回は板金屋さんのお知り合いの塗装屋さんでアルマイト塗装をしていただけた。すばらしいできばえとなった。感謝!!


【文字入れ】
フロントのレタリング
文字入れは、サンハヤトのインスタントレタリングである。これはアマチュアにとって、すばらしい製品であると思っている。難点は、まっすぐ貼り付けるのが結構難しい。今回も良く見ると歪んでいるところがある。ご愛嬌。うわさでは、サンハヤトも販売しなくなるのではないかということだ。ホームページをみると確かにほとんどが販売完了となっている。もはや店頭在庫のみのようである。
 今後は、シートに印刷して張り付けるか、テプラしかないのだろうか。いい情報があれば教えていただきたい。

【内部】
内部加工
サブシャーシーが無いので、ケースに直接取り付けるか、サブシャーシーを作るかということにある。今回は、汎用穴あき基板(サンハヤトICB-88SEG)を使っている。枚数が12枚程度になるため、面積から考えても上下2段となる。このためサブシャーシーを作ることとした。まず、サブシャーシーをつけるための棚板を両サイドのケース固定金具に取り付けた。これはL型アルミ(15x20x300 mm)から140mmの長さで2本用意し、金具に瞬間接着剤で貼り付けた。強度は大丈夫かな?
 その上にアルミ板を取り付け、基板が片面あたり6枚乗るようにスペーサーを取り付けた。ここまで加工したところでもう1枚程度基板が増えそうな気がしてきたので、両サイドに基板を細く切ったものを取り付けるようにしている。臨機応変。(計画不足ともいう)

パネル
【バックパネル】
 バックパネルには、電源線の穴、外部スピーカージャック、アンテナコネクタと、パワーアンプの放熱器が付くので、これらの加工をしている。放熱器には、パワーアンプの基板が付いている。(写真参照)

 これで概ね加工が完了した。そういえばスピーカーが付いていない。これは、ケース(下側に)音響口(丸穴をたくさん開ける)をつくり直付けすることとしよう。

さて、電源コントロール部を作り上げ、いよいよ各ユニットを、最終形にしていくこととする。



2012年12月10日月曜日

28-50MHz AM/FM Transceiver (1)

28/50MHzFM、AMトランシーバー(1)


 久々の製作物である。今回は、自宅ラグチュー用FM及びAM機を作ることとした。実際はかなり前よりいくつかのユニットに分け製作を開始している。既にケース加工まで行っているが、全体を纏めるのに時間がかかっている。何時までも放っておくと最初のころのことをすっかり忘れてしまいそうなので、備忘録を兼ねて書き始めることとした。
今回2バンド2モードトランシーバーとしたことでモノバンドと比べるとかなりのボリュームとなりそうである。結構なハードルである。マルチバンド、マルチモードのトランシーバーを製作されているOMには敬服する。モノバンドには無い課題が多くある。
 全体構成は計画段階のブロックダイアグラム(といっても現状に近いものになっているのだが)を参照願います。
【特徴】
 今回色々な回路を採用してみることとした。その主なものは
 ・ ミクサーにアクティブ(受信)、パッシブ(送信)
 ・ VFOにDDS(最初はPLLの予定だったが)を使用する予定
 ・ AM変調にICを使用した低電力での変調
 ・ 送信パワーアンプに三菱パワーFETを使用
といった感じである。

【仕様】
 周波数:28.000-29.7MHz 50.000-54.000MHz
 モード:AM・FM
 出 力:5W(AM・FM)
 外 形:IDEAL TC-220R W:220mm D:220mm H:85mm
 電 源:DC 13.8V

【製作】
 今回は、回路を幾つかのパートに分けユニバーサル基板(サンハヤトICB-88SEG)に組んでいく。配線は極力コネクタを使用し、今後手直し、実験、組換えが容易に出来るようにしていく。この基板は、以前の製作例でも頻繁に使用している。片面がアースランドとなっていて高周波用に最適である。サイズは44mmx72mmで小規模回路を組み込むのにちょうど良いサイズである。少々高いがお気に入りである。
 箱先派か箱後派と議論になることがあるが、今回は同時進行している。後で収まらないなんて事があるかも。イメージ(パネル、内部上側お呼び下側)を載せておく。
こんな感じでプロジェクトスタート

つづく