JF3HZB 上保さんがdsPICを使用したPSN(Phase shift Network)を公開された。
これはdsPICというDSP機能付きPICを使用しAFの位相差信号(0° 90° 180° 270°)を作り出すものである。従来アナログ式ではオールパス、PPSNといった方式で位相差信号を作り出しているが、オペアンプやCRを大量に使用したもので製作が大変であった。これをDSPで実現したものだ。またその性能は帯域全体で実現されている。アナログ方式では実現できない。それがこのIC1個で実現されていることは素晴らしい。勿論昨今のSDRなどでは同様のことが出来るのだが、私には製作が困難だ。
かなり以前に位相差AF信号でSSBを発せさせることが出来るIC(位相差変調器)をオークションで購入していたこともあり、これを活用できる。
早々実験をしてみた。
【dsPIC】
詳細はJF3HZB上保さんのBlogにあるので参照されたい。
普段はArduinoしか使っていないのでdsPIC(PICを含めて)まったくの無知である。
公開されているソースファイルをコンパイルしdsPICに書き込む為PICメーカーサイトからMPLAB X IDE(無償)をパソコンにインストールしなんとか書き込むことができた。
ここで使用したdsPICはdsPIC33FJ64GP802というものだ。
【位相変調器】
使用したICはMAXIM製のMAX2452である。このICはかなり以前、偶々オークションで見つけて落札したものである。落札当時はAF位相差信号を作るためオールパスやメリゴ等の方式しかなかったため製作が面倒で死蔵品となってた。
外部入力または自励発振で得たRF信号を内部でAF位相差信号と混合してSSBを出力を得ることが出来る。RF信号は目的の出力信号の2倍の周波数となる。ハイブリットで作る場合は、RF位相差信号を作りDBMを2個使うことになる。
同様のICとしてNECのuPC8101GRやシーメンスのPMB2205というものがCQ出版「実験して学ぶ高周波回路」に掲載されている。参考にされたい。確か以前JA9TTTさんもuPC8104の紹介をされていたと思う。これにも同等の機能があるようだ。
これらのICは殆どがディスコンとなっているので入手が難しいと思われる。最近お世話になっているJH8SSTさんがebayで購入されたので、探せばまだあるかもしれない。
【回路】
今回の実験はマイクアンプにTA2001Sを使用しdsPICでAF位相差を作りMAX2452に入力。外部信号発生器からVFOとしてMAX2452に入力して行った。
MAX2452の出力はトランジスタ2段非同調としている。この回路は「MAX2452 SSB」でWeb検索で見つけた「SSB modulator covers HF band」を参考にした。
2018.08.12 8pinにバイアス追加(回路図修正済み)
【実験】
AFジェネレータからマイクアンプに入力しdsPICの出力を見てみた。(写真参照)
pin26から0°、pin25から-180°、pin24から-90°、pin23から-270°が出力されている。
0°を基準に各信号を表示してみると綺麗に位相差が出来ている。0°と-90°でリサージュを見てみた。1kHz以下で少し変形が見られるが、概ね良好な円が表示された。(上保さんのアドバイスで改善 下記に追記)また、バンドパス機能が働いているため200Hz、3100Hzでは信号が完璧にカットされている。アナログフィルタでは実現不可能である。
この4信号をMAX2452に入力したところ無事にSSBが出力された。
写真は2信号を入れたときの出力信号である。SSB信号が出来上がった。出力レベルは、VFO入力レベルを変更(-10dBm~+5dBm)しても変化は無かった。また周波数としては最高100MHzを入力し50MHzを出力できた。
ただ出力20Mhzより高くなるに付けて出力レベルが6dB程度下がる。この辺りもマルチバンドで実用化する場合には検討を要する。また、入力後暫くすると波形が少し乱れる。
(上保さんのアドバイスで改善 下記に追記) 原因は不明。これから信号レベル、インピーダンスマッチング等詳細に調整が必要かもしれない。
今回は簡単な実験なので正確なレベル等は測定しなかったので、傾向として参考にされたい。
フィルターも使わず、IC2個(dsPICと変調用IC)、これにリニアをつければ高品質なSSBが出来そうである。SDRなどは私には無理であるが、これならば実現できそうである。
このような素晴らしいものを公開されたJF3HZB上保さんに感謝申し上げたい。
是非これを実用機として作り上げたいと思う。
追記(2018.08.12)
早々上保さんよりコメントを頂きました。リサージュ及び出力波形の乱れは、dsPICの8pin AF入力が信号源からコンデンサー結合で入力されているため、8pinの電位が安定しないことによるとの事で、8pinに1/2Vccのバイアスをかける事により改善された。
全音声帯域で綺麗なリサージュとなり、出力も安定して綺麗なSSBが出力された。
これで送信機の製作に弾みがつく。
上保さん誠に有難うございました。
改善後の波形を以下に添付
これはdsPICというDSP機能付きPICを使用しAFの位相差信号(0° 90° 180° 270°)を作り出すものである。従来アナログ式ではオールパス、PPSNといった方式で位相差信号を作り出しているが、オペアンプやCRを大量に使用したもので製作が大変であった。これをDSPで実現したものだ。またその性能は帯域全体で実現されている。アナログ方式では実現できない。それがこのIC1個で実現されていることは素晴らしい。勿論昨今のSDRなどでは同様のことが出来るのだが、私には製作が困難だ。
かなり以前に位相差AF信号でSSBを発せさせることが出来るIC(位相差変調器)をオークションで購入していたこともあり、これを活用できる。
早々実験をしてみた。
【dsPIC】
詳細はJF3HZB上保さんのBlogにあるので参照されたい。
普段はArduinoしか使っていないのでdsPIC(PICを含めて)まったくの無知である。
公開されているソースファイルをコンパイルしdsPICに書き込む為PICメーカーサイトからMPLAB X IDE(無償)をパソコンにインストールしなんとか書き込むことができた。
ここで使用したdsPICはdsPIC33FJ64GP802というものだ。
【位相変調器】
使用したICはMAXIM製のMAX2452である。このICはかなり以前、偶々オークションで見つけて落札したものである。落札当時はAF位相差信号を作るためオールパスやメリゴ等の方式しかなかったため製作が面倒で死蔵品となってた。
外部入力または自励発振で得たRF信号を内部でAF位相差信号と混合してSSBを出力を得ることが出来る。RF信号は目的の出力信号の2倍の周波数となる。ハイブリットで作る場合は、RF位相差信号を作りDBMを2個使うことになる。
同様のICとしてNECのuPC8101GRやシーメンスのPMB2205というものがCQ出版「実験して学ぶ高周波回路」に掲載されている。参考にされたい。確か以前JA9TTTさんもuPC8104の紹介をされていたと思う。これにも同等の機能があるようだ。
これらのICは殆どがディスコンとなっているので入手が難しいと思われる。最近お世話になっているJH8SSTさんがebayで購入されたので、探せばまだあるかもしれない。
【回路】
今回の実験はマイクアンプにTA2001Sを使用しdsPICでAF位相差を作りMAX2452に入力。外部信号発生器からVFOとしてMAX2452に入力して行った。
MAX2452の出力はトランジスタ2段非同調としている。この回路は「MAX2452 SSB」でWeb検索で見つけた「SSB modulator covers HF band」を参考にした。
2018.08.12 8pinにバイアス追加(回路図修正済み)
【実験】
AFジェネレータからマイクアンプに入力しdsPICの出力を見てみた。(写真参照)
pin26から0°、pin25から-180°、pin24から-90°、pin23から-270°が出力されている。
0°を基準に各信号を表示してみると綺麗に位相差が出来ている。0°と-90°でリサージュを見てみた。
この4信号をMAX2452に入力したところ無事にSSBが出力された。
写真は2信号を入れたときの出力信号である。SSB信号が出来上がった。出力レベルは、VFO入力レベルを変更(-10dBm~+5dBm)しても変化は無かった。また周波数としては最高100MHzを入力し50MHzを出力できた。
ただ出力20Mhzより高くなるに付けて出力レベルが6dB程度下がる。この辺りもマルチバンドで実用化する場合には検討を要する。また、
(上保さんのアドバイスで改善 下記に追記) 原因は不明。これから信号レベル、インピーダンスマッチング等詳細に調整が必要かもしれない。
今回は簡単な実験なので正確なレベル等は測定しなかったので、傾向として参考にされたい。
フィルターも使わず、IC2個(dsPICと変調用IC)、これにリニアをつければ高品質なSSBが出来そうである。SDRなどは私には無理であるが、これならば実現できそうである。
このような素晴らしいものを公開されたJF3HZB上保さんに感謝申し上げたい。
是非これを実用機として作り上げたいと思う。
追記(2018.08.12)
早々上保さんよりコメントを頂きました。リサージュ及び出力波形の乱れは、dsPICの8pin AF入力が信号源からコンデンサー結合で入力されているため、8pinの電位が安定しないことによるとの事で、8pinに1/2Vccのバイアスをかける事により改善された。
全音声帯域で綺麗なリサージュとなり、出力も安定して綺麗なSSBが出力された。
これで送信機の製作に弾みがつく。
上保さん誠に有難うございました。
改善後の波形を以下に添付
8 件のコメント:
早速,ご活用いただきましてありがとうございます.
回路的に少し気になるところがありますので,
ご確認いただければ幸いです.
dsPICに与えるAF信号は,私のサイトにあるとおり,
0V~3V(電源電圧)の範囲としてください.
1uFのCが入っていると,電位が定まらず,
負の電位にもなる場合がありその部分で歪みます.
それがリサジューの変形の原因です.
このCを取り去るか,dsPICのAF入力端子を
1.5V(1/2電源電圧)でバイアスしてみてください.
よろしくお願いいたします.
上保さん コメント有難うございます。
dsPICのAF入力にバイアスをかけたところ全音声帯域で綺麗なリサージュが出ました。また出力も綺麗な安定したSSB信号となりました。
今後ともご指導お願いいたします。
誠に有難うございました。
松浦様
田中と申します。 ちょうどIQ変調のSSB発生に興味があり、このブログを拝見しました。 ついついうれしくなって小生のブログにリンクをはらしていただいたのですが、よろしかったでしょうか?
ちなみにAFPSNの発生はうまくいったのですが、MAX2452でSSBが得られず躓いています。中国から輸入したICの刻印がどうも怪しく。。。
https://davet.exblog.jp/30747431/
JJ1HMR 田中OM
コメントありがとうございます。
リンクフリーです。
MAX2452うまくいきませんか?
友人等も購入していますが、たぶん中華の販売店は1社しかないようなので、同じところだと思います。動作はOKでした。出力レベルはかなり低いです。
再度見直されてはいかがでしょうか。
JA2NKD Ryuu
松浦様
ありがとうございます。 今、OMのブログを読み直して気づいたのですが、ローカルの信号レベルを何も考えずに13dBm(1Vrms)に設定していましたので、過大入力で正常に動作していないかもしれません。 何も出力されないわけではないのですが、ツートン信号入力のSSB信号ぽいものが、さらに別の周波数で変調されたみたいな、なんとも言えない汚い波形になっています。 あいにく月に数回しかシャックに戻れない生活なので、次回試せるのがいつのことやら。。。 Max2452の購入先はeBayです。 日本の顧客が何名かいい評価をされていましたので、きっとこの目的かもと思って注文してみました。
MAX2452は入力-10dBm~0dBmくらいだったと思います。+13dBmは大きすぎますね。
ebayはヨーロッパの某国だったと思いますが、aliのほうが安いです。
50MHz送信機での評価は皆さん「いい音ですね」と言って下さいます。
ダイレクトにSSBが出来て音がいいのですからフィルタ式での製作での苦労は何だったのだろうと思ってしまいます。
楽しんでください。
松浦様 JJ1HMR田中です。
その後ですが、なんともお恥ずかしい話で、私のデジタルオシロの使い方のミスだとわかりました。サンプリングレートが低く、得体の知れない信号に見えていたという落ちです。 ただ蛇の目基板に組んだせいかノイズが多く、これ以上は一度プリント基板を起こしたいところです。 どうもありがとうございました。
田中さん コメントありがとうございます。
私の自作はほとんどユニバーサル基板です。
低周波はベーク、高周波はメッシュアースのユニバーサル基板です。
これは全面アースで高周波には安定していて使いやすいです。
うまく出来上がるといいですね。頑張ってください。
73's JA2NKD
コメントを投稿